1970年代、一人の「おばあちゃん大学生」ドロシー・リタラック夫人の研究が、アメリカ中を論争に巻き込みます。デンバーのオルガン奏者で、音楽の学位を取る為にテンプル・ビュエル大学に入学しました。生物学単位取得の為、彼女は友人と植物に音楽を聞かせて反応を見るという実験を行い、音楽を聞かせたセントポーリアの方が枯れにくかったというレポートを提出します。このレポートに理解を示した大学側は、リタラック夫人に全く同じ条件に維持された2つの温室を提供、そこにかぼちゃ、トウモロコシ、ペチュニア、キンセンカ、百日草を植えて、一方にはクラッシック専門の音楽を流すラジオを入れ、もう一方にはロック専門番組を流すラジオを入れたのです。結果、クラッシック音楽の植物はラジオの方へ伸びていき、スピーカーに巻きつくものさえありました。逆に、ロック音楽温室の植物はラジオから遠ざかるように反対の方向へ伸びていきました。更に研究は進み、ロックを聞かせた植物は、クラシックを聞かせた植物の2倍の水を消費。ロックを聞かせた植物の根の長さは、クラッシックを聞かせた植物に比べ4分の一程短いなどの結果が出たそうです。この話は、その後放映されて「ロック音楽有害説」にまで発展してしまい賛否両論で話題になりました。その他にも、有機栽培農家が温室にモーツアルトを聞かせて育てているから糖度が高い」などで紹介されたり、ヨーロッパのワイン農家でもクラッシック音楽を流しているを事アピールするなど、様々ところで話題にはなっています。但し、まだ科学的な根拠は完全に証明されていません。植物学において植物と音楽の関係は、1960年代からインドやアメリカの植物学者が、音楽を聞かせると植物の気孔が大きくなり、通常よりも発芽や生育が早いという報告をしています。日本でも音刺激を与えた時の植物気孔開度の変化を調べていて、やはり音の振動が気孔の開き始めに影響を及ぼすことがわかっているそうです。植物は動物のような神経系を持たないので、音声を聞くこともそれに反応する事もありません。但し、音という振動に刺激を受ける事は確かなようです。また、植物と音楽の関係は解決されていない謎だらけです。